技術士は、科学技術に関する高度な知識を有し、その知識を基に実務において技術的な問題を解決する専門家として、社会に貢献することを使命とする資格を持つ者です。具体的には、技術的なアドバイス、設計・開発・生産に関する指導、研究開発、プロジェクト管理など、広範な業務に従事します。日本では、技術士法に基づき、国家資格として認定されます。
(技術士法第二条)「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。
技術士の主な役割
- 問題解決の提案
複雑な技術的課題に対して、解決策を提案し、実行可能な計画を立案します。 - 調査・分析
新技術や最新の研究成果に基づく調査、分析を行い、技術的な問題を深く理解し解決に導きます。 - 技術的アドバイザーとしての役割
企業や大学・政府機関、その他の組織に対して、技術的な助言を行い、プロジェクトの進行をサポートします。 - 設計・開発支援
製品やシステムの設計・開発において、高度な専門知識を活かして効率的で安全な技術的解決策を提供します。 - 品質・安全管理
品質管理や安全性の確保に向けた対策を実施し、技術的な品質を確保します。
技術士の専門分野
技術士には多くの専門分野があり、例えば、機械、電気・電子、土木、化学、環境、情報、バイオ、経済、農業などが含まれます。これにより、各分野に特化した高度な専門性を持つことが求められます。
求められる資質
- 高度な専門知識
- 実務経験
- 問題解決能力
- プロジェクト管理能力
- コミュニケーション能力
技術士は、技術革新や新たな社会的ニーズに応じた柔軟な対応ができる専門家として、非常に重要な役割を担っています。
技術士の義務
技術士法には、以下の通り技術士等の義務が定められています。
これらの義務が課されていることにより、顧客・クライアントはより安心な技術開発や事業運営が可能となります。
(信用失墜行為の禁止)
第四十四条 技術士又は技術士補は、技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ、又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(技術士等の秘密保持義務)
第四十五条 技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなつた後においても、同様とする。
(技術士等の公益確保の責務)
第四十五条の二 技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たつては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。
(技術士の名称表示の場合の義務)
第四十六条 技術士は、その業務に関して技術士の名称を表示するときは、その登録を受けた技術部門を明示してするものとし、登録を受けていない技術部門を表示してはならない。